横浜・大倉山音楽美術センター、基礎絵画レッスン、その10
球形の表現
球形の表現で扱うのは光と影の関係です。球には角がありませんから、角や辺の空間的な位置関係で説明できる立方体や断面と長さで表現できる円筒と同じには表現できません。そこで、光の助けをかりて、光側の半球と影側の半球との関係で立体を表現します。ボリュームははっきりわかるのに表現の手がかりがないような、空に浮かぶ雲や、花束などを描く場合、球的な解釈によってボリュームを伝え、細部の形が曖昧でも全体として形態が伝えられる表現です。
球的な形態の表現で重要なのは光源の明確な設定です。現代の生活は室内で人工照明のもとで過ごす時間が長いので、太陽の下での単一な光源の意識は薄いかもしれません。しかし、デッサンで形態を示す場合は最も強い光に焦点を当て、下図を完成させます。
この絵はその1で紹介した生徒の9枚目の基礎デッサンです。木炭の色に大分慣れて来たのでそれぞれのモチーフの固有色や画面のトーンも上達してきましたが、輪郭に明暗を乗せただけの球体では厚みが十分に伝わりません。素直に見たままの明暗を描くと大抵はこのような絵になります。そこでこの場合の明確な下図が必要となります。
光源からくる光は直線の束だと思ってください。その光の直線が球体に触れたときの接点の軌跡が明暗の分かれ目になります。球であれば立体上では円になっているはずです。その円を画面上に描くと楕円になるでしょう。その光半球と影半球との分かれ目を強調することで輪郭の円に楕円が加わり3次元の球が表現されます。地球儀に赤道を描いて球体の地球を表現するのと同じです。
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