小学生の絵画レッスン はじめに影のこと・・・

query_builder 2022/12/18
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小学生12

子供の持つ視覚についての概念を考えてみます。絵では重要な役割をする影ですが、子供にとって影はほとんど意識されません。子供の視覚においては物のみが認識対象なので、それが影の中にあるか、光の中にあるかなどどうでもよく、対象を識別するヒントが一つでもあればそれで十分なのです。影は対象の置かれた変化する環境の影響下にありますので、周囲や光の条件によって容易に変化します。そこで子供にとっては認識の対象にならないのでしょう。影が暗いのを知っていても、どこにどのように現れるか曖昧なものです。ものの付近にあると見てるだけです。位置関係にしても大雑把で、必要最小限の位置の概念、「本の上」とか「コップの中」とかで十分なのでしょう。子供に「視覚」という概念を与えなければ影も位置も正確には意識に上がってきません。

小学生02

初めての課題は「本の上の果物」です。果物の球形に対して四角い本はどのように見えてくるのかという自分の視覚についての自覚を促す課題です。注意深く本の4つの角の位置を急である果物と比較して視覚的に観察します。視覚的な形が描けたら、次に画面の色を決めます。絵画の背景は主観を表現する部分です。「好きな色」「きれいな色」といった主観的なイメージを投影できるよう「新しい色」作りを課題とします。色は3色以上の混合で、「二度とできないような色」「何色で描いたかわからないような色」などの言葉で表現します。


小学生05

背景の色ができたら、次に影を描きます。影を描くときは光の方向の反対が影であることや、影が背景の色の暗い色であることを知らせます。

以上が新たなレッスンで、白抜きになっているモチーフに素材の色を塗れば絵は完成です。これではじめの課題は終了ですが、実際は数回に渡って、手を変え品を変え、似たような課題を与えたほうが良いでしょう。視覚や、色彩は子供にとって新しい概念なので、それが定着するのを見届けてから次の課題に入ります。


ここで一つ注意が必要なのは、子供には視覚を理解するまでは完全には視覚的に見えていないことを理解していなければいけません。概念の図から視覚の絵に移行するにはしばらく子供なりの試行錯誤の時間が必要です。

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