小学生の絵画レッスン 色について 大倉山音楽美術センター
小学生の絵画レッスン 色について
好きな色はと子どもたちに聞くと「青が好き」、「ピンクが好き」と答えます。どんな青?どんなピンク?と尋ねるとそこで子どもたちの思考は止まってしまいます。子どもたちにとって色とはクレパスの色か色鉛筆の色です。色が青からピンクまででも連続的に変化しピュアーな色からグレイッシュな色など無数の色彩が継っている、クレパスの色、色鉛筆の色は料理で言えば塩、砂糖、胡椒、酒、酢といったものと同じで、味を作る素材なのだとの意識がありません。好きな料理を聞くのに「塩が好き?」「酢が好き?」と聞いているのと同じになります。「青みがかったピンク」とか「ピンクがかった青」などのイメージがあることを知るには、その色を実際に作った経験が役立ちます。色が自由に変化することを体で覚えてゆくのが混色の練習です。
1.混色という概念を伝えるために、画面の背景を3色以上の混色で塗るように指示します。
3色以上である訳は、12~16色のクレパスを用いた場合、2色では同系色を選ぶことが多くなります。子供にとって出来上がる色がほぼ想像できるからです。水色に青は同系色です。そこに紫や緑を加えると初めて色が動き始めます。色相変化です。次に白を加えると明度変化が起きます。更に薄橙やピンクなどを加えると彩度変化が起きますし、力の入れ具合で青味から赤味に変化したりもします。色の自由さを体験すると次第に固定した色概念から解放されてゆきますので、繰り返し混色を指示します。
2,混色で黒を作る
混色を覚えると様々な色が生まれるので、次第に積極的になるのですが、それでできてくる色は偶然色です。泥の中からきれいな色の石を見つけるような遊びです。そこで、目的を持った色づくりを覚えるために黒の練習をします。黒は基本色としてクレパスには初めから入っていますが、子供に与える色のセットには黒は入れずに外して白2本とします。黒とは「画面の中で一番暗くて、色でないもの」すなわち赤みがかったり、青みがかったり、紫がかったりとかしない中立的な色です。自分で色の方向を決めて混色してゆくという体験は重要です。「黒」で練習するのは、白の入った水色やピンク、黄土色などを除けば、朱や青、緑や橙は何度重ねてっも大丈夫だから繰り返し練習ができるからです。
3,色味を消す練習
黒が作れるようになるとグレーが簡単に作れるようになります。オレンジを青に変えたり、緑を赤に変えたりするには、一度各色の彩度を減らして、新たな色の発色をよくするために、修正する箇所の色をグレーにし、更に白で覆い、その上に新しい色を置きます。混色で黒を作るのは加法混色と言われる3原色を混色すると黒くなるという知識の実践です。グレーを作るのは反対色という考え方の実践です。
4,影の色、光の色
絵の色彩の決め方の順序です。1が画面の背景、2が陰影、3がモチーフの固有色です。陰影は背景の色彩に影響されるので、はじめに背景を決めることで、色彩を考えた影を描くことができます。児童画のような象徴的な図では固有色が重要ですが、視覚的な絵では陰影(明暗によるデッサン)が重要です。
影の色は空間の色の暗くなった色です。絵では背景が空間ですので、背景の色の暗くなった色です。光の色は影の色を含まない色です。濃い色が必ずしも影ではなく、鮮やかな色が必ずしも光でもありません。空間の設定と光の設定によってそれらは決まってきます。
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